葬儀社の選び方

葬儀社の情報は集めだせばきりがなく、情報収集の軸を据えていないと様々な情報に惑わされてしまうことになるでしょう。自らの優先順位を意識して、葬儀社の、1規模、2宗教、3場所、4費用、5サービスの質、への対応力という視点で情報収集・比較検討できれば最適解に近づけると思います。

葬儀社にはどんな種類があるのか

葬儀社をどこにするのか?、これまでのどの比較項目よりも重要度は高いと言えます。なぜなら、現状の葬儀において、葬儀社の果たす役割がますます大きくなってきており、「よい葬儀」にすることができるかどうかは葬儀社選びにかかっているといっても過言ではないからです。しかしこれが簡単ではありません。(葬儀社の果たす役割と葬儀社選びが難しい理由

まず、選択肢としても良いところをピックアップし、それぞれのメリット・デメリットを踏まえたうえで決めていくことになるでしょう。まず、ざっくりとメリット・デメリットを列挙していきます。現実に葬儀を依頼する人の立場からみて必要だと思う分類で、主に、費用、サービスの質、場所で整理してみます。
(一般的に用いられている葬儀社の分類については、ページ下の コラム1 を参照ください)

規模による分類

規模による メリット デメリット
家族経営 ・費用は安い
・親しみがある対応
・地域社会に溶け込んでいる
・大規模葬には対応が難しい面もある。
・対応範囲が狭い。
・対応が洗練されてない場合もある。
中小規模会社
(従業員約5~30人)
・家族経営のところと、大規模会社の良いところを取り入れられる。
・社によっては、費用とサービスのバランスがよいところもある。
様々な会社があり、特徴も千差万別なので、見極めが必要
大規模会社(互助会等) ・組織的対応ができる
・駅前などの便の良いところに、斎場を持っている場合が多い。
・ネームバリューによる安心感がある。
・分業制で担当者が変わる場合が多い。
・親しみのある対応は求めにくい。

自社斎場の有無による分類

  メリット デメリット
斎場あり ・自社斎場の提案もできる。
・公営斎場の待ち日数に比べ、それほど待ち日数がなく利用できる。
他の式場を提案してくれない場合もある。
斎場なし 公営斎場を含め、要望にあった斎場を提案してくれる可能性がある。 地域の斎場に精通してないところだと、利用頻度の高い公営斎場などを勧めるだけになってしまう。

病院指定業者

  メリット・デメリット
利用するかどうか 現在、お亡くなりになる人の場所は8割が病院です。事前準備をしてなければ、病院の指定業者に、少なくとも、搬送は依頼する流れになるでしょう(ページ下の コラム2 参照)。病院にいる時間が少なくなるということはありますが、その業者がどういうところかはわからないので、“言われるがまま”にされてしまうリスクもあります。

また、葬儀社をやるには許可や認可はまったく必要ありません。明日から誰でも始めることができます。それゆえ、葬儀社の数を正確に把握することは困難です(ページ下の コラム3 参照)。

すでに決まっている項目である程度絞られる

これらの葬儀社すべてにおいて調べてどこにするかというよりも、すでに6つの項目で決まっているものからの関連でかなり葬儀社選びも絞られています。まず、決まっている項目を確認してみましょう。例えば、

  • 家族葬であれば、そうした葬儀をメインにやっているところが良いでしょう
  • 市民葬儀は取扱店でないとできません。
  • 大規模葬では、小さい社では対応に不安です。
  • 直葬なら、手を抜かないところのほうが良いに決まっています。
  • 仏式であれば、ほとんどの葬儀社さんは対応しますが、神式やキリスト教、無宗教ということであれば、慣れている葬儀社がよいでしょう。
  • 駅近くの交通の便のよい設備の整った斎場ということなら、互助会が適しているかもしれません。
  • 費用を抑えながらも、親しみのある対応を求めるなら、家族経営の社が良いかもしれません。
  • きめ細かい対応を求めるなら、分担制でなく、一人の担当者がマンツーマンでつく葬儀社さんがよいでしょう。

項目からしぼられると同時に、葬儀社に求める条件として、価格重視なのか、サービス重視なのか、場所(斎場)重視なのか、で優先順位をつければさらに絞っていくこともできるでしょう。
この3つについて見ていきましょう。

費用重視

当センターでは、相談者とのやり取りの中で、言葉を変えながら、「サービス、費用、場所」の優先順位はどのようなものかを探ろうとしています。「当センターを通して葬儀社に依頼するとした場合、その葬儀社に依頼するかどうかの決め手になるのは何だと考えますか。」というような質問をします。
たとえば、それが価格であれば、賛同葬儀社の中で一番費用を抑えられる可能性のある社を紹介いたします。ただ、賛同葬儀社は業界の最安値ではありませんし、当センターの中から葬儀社を選ぶ必要もないので、ネットで探せばもっと安いところもあると思います。費用で折り合えばがつかなければ、ネット最安値のところを利用するのがよいと思います(内容はわかりません、念のため)。

競争が激しいネットにおいて価格勝負しているところは、確かに安いです。地域性よりも、ある程度広いエリアに低価格を打ち出す広告によって大量に集客し、利幅を薄くして数を多くこなすことで成り立つスタイルです。きめ細かい対応は求めにくいですが、それで、割り切れば有力な選択肢の一つになるでしょう。

一般的傾向とすれば、会社規模が大きくなれば費用が高くなる傾向は見受けられると思います。悪気があるというよりも、自社斎場を持ち、正社員・従業員を多く抱えれば、そのような価格設定にならざるを得ないとい思います。一方、小さく小回りの利く会社は、自社斎場を持たず、必用時のみ外部の派遣スタッフを使うローコスト・スタイルです。なので、価格勝負では大きいところは、やはり分が悪くなってしまいます。

価格最重視の人で、たとえ激安価格であっても、サービスがあまりにも悪ければ、満足はなく、クレームになるような感じがしています。なので、賛同葬儀社の中に「安かろう悪かろう」のところがあったとしても紹介案件はなくなっていく方向になります。
もっとも、最初のコンタクト時点では、表面上は「価格重視」と言っていても、本当のところは、それに劣らぬくらい「サービスの質」を求めている人も結構いますので、やり取りしていく中でニュアンスを感じ取りたいと思っています。

対応サービス重視

斎場が公営斎場や一般の貸斎場である場合、葬儀社の選び方は、価格とサービスの質(スタッフのきめ細かい対応や心遣い、関係者の調整能力、斎場の提案力など)のどちらを重視するかによります。
10年に及ぶ紹介センターの運営から、状況は様々ですが一般的に、最安値での満足度よりも、ある程度安く丁寧な対応であるほうが満足度は高まると思っています。

先ほどの質問、「当センターを通して葬儀社に依頼するとした場合、その葬儀社に依頼するかどうかの決め手になるのは何だと考えますか。」の答えが「実績や同じような葬儀を行った方の感想でしょうか。予算や企画内容も大切な要素ですが、やはり人なので、葬儀社さんのご担当の人柄や会社の方針だと思います。」(過去の実際の回答)というようなことであれば、これは是非、担当者に会ってもらうようにします。

サイト上での情報や紙の見積だけで依頼社を決めてしまうのではなく、お気持ちが許せば、社の担当者に会ってもらうようにお勧めしています。サイトや紙の見積書だけでは、担当者の対人的なきめ細やかさは伝わりませんので。
しかも、担当者と会うことによって、「予算の調整や、見積もりの数字だけではわからない料理の内容、祭壇、斎場についての不安も解消された」という声も多く聞きます。

サービスの質の部分が大事なのはわかるにしても、事前に葬儀社の担当者と会うことに抵抗感を持たれる方もいらっしゃると思います、その場合は、われわれの存在をご利用いただければよいでしょう。
葬儀社さんとの面談や日常のやり取り、反応の仕方、施行での立会い、喪家の感想などを通して得られた葬儀社さんのサービスの質の部分のニュアンスが伝わるように説明いたします。
また、口コミの掲載許可がおりたもののみの掲載ではありますが、口コミも検索できるようになっていますので、質の部分の判断材料にしていただければと思います。

場所(斎場)重視

公営斎場や、一般的な貸斎場であれば 、葬儀社選びは価格とサービスの質の兼ね合いで比較して決めていけばいいのですが、斎場が自社斎場ですと、葬儀社選びはありません。
よくあるのは、駅前の斎場をどうしても利用したい場合です。この斎場が葬儀社保有の自社斎場の場合は、この葬儀社に依頼するほかありません。ということは、葬儀社選びをする必要がないというメリットはありますが、価格やサービスは二の次にならざるを得ません。

これは、菩提寺でも同じようなことが起こりえます。「ここ(菩提寺)で葬儀をしたいなら、A葬儀社を使ってください」という具合です。こちらは、菩提寺とA葬儀社の関係の深さによって縛り具合が決まってくるでしょう。
もっとも、葬儀代金を出すのは喪家なので、どうしてもB葬儀社を使いたいという交渉もできなくはありません。これは、菩提寺と喪家との関係性によって決まってくることになるでしょう。

優先順位を意識してみましょう

以上、価格重視なのか、サービス重視(スタッフのきめ細かい対応や心遣い、関係者の調整能力、斎場の提案力など)なのか、場所(斎場)重視なのか、について説明いたしました。項目から絞り、さらにこの3つに優先順位をつければ、よりよい葬儀社選びにつながっていくでしょう。

葬儀社情報を知る方法

葬儀社をやるには許可や認可は不要なので、明日から誰でも始めることができます。それゆえ、葬儀社の数を正確に把握することは困難です。横浜市市民葬儀取扱指定店のリストを見ただけでも横浜市内に60店以上が記載されています。
葬儀社情報を集めだすときりがなく、混乱して判断ができないので、電話しました」とセンターに相談される方もよくいます。

会社の特徴を把握するための指標は様々で、あげだしたらきりがありません。会社規模、従業員数、勤続年数、福利厚生、給与、取扱商品、売上、利益、稼ぐ力、株価、・・というようなものは一般的でしょう。株主や従業員になるわけではありませんので、不要なものがありますが、それでも、会社規模、価格帯、対応規模、対応能力、対応エリア、自社斎場の有無、施行実績斎場、代表者経歴、担当者経歴、社の成り立ちなど、われわれは知っておきたい情報です。
ただ、一般の人が集めるには難があるので、葬儀社を選びをするときに、とりわけ大事なポイントは何かということになるでしょう。葬儀社の特徴として押さえておきたいのは、「どんな葬儀にするのか」と表裏一体なので、以下のような項目です。
1規模、2宗教、3場所、4費用、5サービスの質、のそれぞれの項目への対応力に関する情報ということになります(5項目についてはこちら)。 これらのポイントを意識しておくだけでも余計な情報に振り回されることは相当少なくなるでしょう。たとえば、

  • 1規模では、市民葬儀は指定店しかできませんし、大規模葬は小さい会社では対応に難があります。葬儀社がどの規模が対応範囲で得意かを把握するというようなことです。
  • 2宗教では、神式やキリスト教、無宗教は慣れているところでないと、スムーズに対応できません。
  • 3場所では、会社の所在地、自社斎場の有無(有りの場合、場所・設備)、対応エリア、施行実績斎場を把握するということです。

さて、こうしたポイントに絞ったとしても葬儀社の情報を知る方法は限られてきます。サイト、チラシ、葬儀社がひらくイベント・セミナー、実際の人間関係からの口コミ、情報通の知り合い、実際に話を聞きに行く、といった感じでしょうか。

お気持ちが許し抵抗感がなければ、実際に話を聞くのが一番です。しかも複数社を試されれば、上記のポイントはかなり明快になるでしょう。ただ、葬儀の事前相談ということになると、情報管理がしっかりした社か確認し、相談場所にも気を遣う必要が出てくるかもしれません。葬儀での満足度を左右するサービスの質(スタッフの対応力)を見るなら下記のような方法も考えられます。

葬儀社の中には、店舗に入りやすいように、線香やろうそく仏壇などを置いてあるところもあります。直接葬儀に関係ないところから話を始めてみるのも一つの手です。この対応が悪いところは葬儀でも対応が悪いと考えて間違いありません。
また、葬儀社も待っている営業スタイルから、積極的にPRするところも出てきています。イベントやセミナー(葬儀に関係ないテーマでも開いている)もその流れです。こうしたものに出席してみて、スタッフの対応を見るのも手です。しかも、自社会館で行っていれば、施設の中も見ることもできます。

やはりそこまではしたくないということでも、日常生活の中から参考にできるものはたくさんあると思います。たとえば、チラシは、この地域が営業エリアである確固たる証拠にもなります。各地に営業拠点があるわけでもないのに、ネットを利用して広範囲に集客しようとしているところは、チラシをまく方法はあまり使えませんので。

いずれにしても、ネットからだけの情報に頼るのは危ないと思います(葬儀の準備>情報収集する)。人知れず情報収集できるという便利な面がある一方、気を付けないと、内容が偏る可能性もあります。ネット情報を参考にするとともに、可能であれば、上述したように実際に直接間接に情報収集されると良いでしょう。

コラム1 一般的に用いられている葬儀社の種類

1、葬儀専門業者 ~大多数が小規模企業~

葬儀社の中でもっとも割合が多いの専門業者です。総務省の調査によりますと、葬儀業を営んでいる企業の常用雇用数は10人未満の葬儀専門業者数は70%以上になっており、小規模企業が多いのが現状です。
なお、葬儀専門業者により構成された全国規模の団体として全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)があり、会員数は1372社(平成26年1月現在)になっています。

2、冠婚葬祭互助会 ~優良葬儀社の証ではない~

互助会といわれているものです。互助会は、経済産業大臣より許可を受け、割賦販売法に定められた指定役務(この場合、葬儀サービス)の提供を目的とした前払い式特定取引業を営んでいる事業者のことです。
要するに、互助会は、会員が毎月掛け金を積み立てて、その積立金をもとに葬儀を施行してくれる葬儀社です。そして積立金の半分は、万一会社が倒産しても保全されます。
ここで注意が必要なのは、経済産業大臣の許可は、あくまで会員から積立金をとる営業方式を認めたものなので、 葬儀社のよしあしはまったく関係ないということです。大臣の許可を優良葬儀社の証しのように宣伝しているところもありますので、気をつけたほうがよいでしょう。
また、互助会と依頼者とのトラブルがいろいろ起きていることから、公正取引委員会は「葬儀サービスの取引実態に関する調査報告書」(2005年7月)の中で次のように指摘しています。

事業者における留意点 互助会加入契約時に、消費者に対して積立金完納後の割増サービス、解約の際に払い戻される積立金の額、互助会が倒産した場合の保全金額等の契約に関する諸条件について十分に説明する必要がある。

消費者における留意点 互助会加入契約を締結する際、その契約に関する諸条件の内容を十分に理解することが望ましい。

3、JA・生協 ~依頼窓口だけの場合も~

JA・生協が窓口になり葬儀を受注しますが、葬儀専門業者と連携しており、多くの葬儀は専門業者によって行われているようです。ただ、独自にサービスを提供するところも中にはでてきています。

ちなみに、下記は、平成26年1月に報告された、(財)日本消費者協会の「葬儀についてのアンケート調査」(東京・神奈川・埼玉地域)結果です。

葬儀の依頼先

上記の分類で特徴を示しても、お役所的な整理の仕方としてはいいかもしれませんが、現実に葬儀を依頼する人の立場からすると、あまり切実な意味を持たないように思いますので、当センターでは、葬儀社の規模や、斎場の有無、病院指定かどうか、といった分類で説明してみました。

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コラム2 準備をしてないと、病院指定の葬儀社になる可能性が高い

事前準備をしていないと、現実的に病院指定の葬儀社を利用するかどうかが葬儀社選びの大きなウエイトを占めてしまいます。そのときになって、あわただしく自らが探すか、親戚や知人などから葬儀社を紹介されないと、病院の葬儀社に依頼せざるを得ないようになる、と言ってもいいでしょう。
下記の図は、厚生労働省の調査で、2010年における、、お亡くなりになる人の場所の構成割合を示しています。病院が80%近くを占めています。

死亡の場所から見た構成割合

下記の図は、2011年に行われた経済産業省の調査結果で、葬儀の事前準備をどのようにしているのか、していないのかを示しています。準備中を含め、準備しているのは、5%にも達しません。ただ、これは自分自身の葬儀準備につい尋ねたものですので、家族が準備しているかまではわかりません。少し古く東京に絞られた資料になりますが、平成13年の東京都の調査「葬儀にかかわる費用等調査報告書」では、家族の葬儀のための事前準備しているのは、34%ほどになっています。

葬儀の準備の実態

いずれにしても、病院でお亡くなりになるのが8割で、あまり葬儀の準備はしていない、これをあわせて考えるとどうなるでしょうか。これは、現実的に病院指定の葬儀社を利用するかどうかが葬儀社の選択を考える大きなウエイトを占める可能性が高いということになります。

実は、病院指定の葬儀社というのは、搬送契約を結んでいる葬儀社のことです。搬送というのは病室から霊安室、病院から自宅などへ遺体を運ぶことです。遺体を長く病院におくわけにはいかない(おきたくない)病院と、仕事を取りたい葬儀社の利害が一致して、病室から霊安室、病院から自宅などへの搬送契約を結んでいます。
ところが、病院指定の葬儀社はどこでもなれるわけではないのです。いろいろ条件があるわけです。例えば、早く病院から連れ出して欲しいわけですので、病院近くに営業所があり、○○分以内に二人で迎えにこられることなど、いろいろな条件があるわけです。
葬儀社側にすれば、営業所が近くになければ場所を確保しなければなりませんし、人も待機させておかないといけないわけですから当然コストもかかることになります。
公立の病院などは、条件を満たした業者の中から抽選をしたりしていますが、私立の病院は、諸条件に加え何らかの理由でもって葬儀社が決まります。「指定業者の中には、病院に対し年間1000万円超、かつ、1遺体あたり数万円の金銭を提供しているものがあった」と公正取引委員会が「葬儀サービスの取引実態に関する調査報告書」(2005年7月)の中で指摘していますが、そうしたことがあることは否定できません。
いずれにしろ、病院指定の葬儀社になるためにはコストがかかるわけです。こうしたコスト構造が背景にあるため、搬送契約でありながら、強引に葬儀まで結び付けようとする営業になっていると言われています。

もちろん、病院指定の葬儀社が悪い業者と言ってるのではありません。こうした構造を知った上で、できれば、違う葬儀社と比べた上で、病院指定の葬儀社にするというのならば何の問題もないということです。

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コラム3 葬儀社に許認可はないので、誰でも明日から始められる

テレビなどで葬儀業界の裏事情でボッタクリの話などが取り上げられると、「行政監督はどうなっているのだ、もっとしっかりやれ」とテレビの前で怒っている人も中にはいると思います。しかし、それは叶わぬことです。なぜなら、葬儀社をやるのに行政庁による許認可は必要ないからです。明日から誰でも葬儀社を始めることができます。(もちろん、商法や刑法などの法律に触れれば罰せられることになりますが)。
そうなので、特に都心部では、新しく葬儀社ができたり、消えていったり、他業種の企業が参入してきたり、撤退したり、出入りも激しくなっています。それゆえ、葬儀社の数を正確に把握するのも困難です。

下記は、2011年に行われた経済産業省の調査結果(葬祭及び葬祭関連サービスの実態に係るアンケート調査)です。NTTタウンページに掲載されている葬祭業者がアンケート対象になっています。「葬祭・葬祭関連サービスの事業開始時期」「直近3 年間における業界への新規参入事業者数の変化」「従業員数」で、 ざっくりとまとめますと、1990年以降事業を開始した葬祭業者が半数以上に達し、新規参入業者は最近でも増え続け、従業員も10人未満の小規模事業者が6割ほどを占めているという事になります。この調査は全国対象なので、おそらく都心部では、さらに流動性が高い結果になると思われます。

葬儀サービスの事業開始時期

葬儀業界への新規参入事業者数

葬儀会社の従業員数

この調査は全国対象なので、おそらく都心部では、さらに流動性が高い結果になると思われます。

コラム4 斎場選びより葬儀社選びのほうが大事

葬儀社選びと斎場選びはどちらを優先させたほうがいいのか? わかったようでわからない問題です。
結論から先に言いますと、葬儀社選びを優先させほうがよいように思います。正確に言うと、自社保有斎場を含めて、どういう斎場に精通し提案してくれるのか、それを見た上で葬儀社を決めるということが大事です。
たとえば、日程などの諸事情によって、前もって希望していた斎場を使わず、事後に斎場を決め直したいことは少なからず起こりえます。そうなると、地域事情をよく把握していない葬儀社では、その地域にどういう斎場があるのかよく把握していないので、どう対処していいかわからず、混乱をきたすことになります。それゆえ、葬儀社の斎場に対する対応力は、葬儀社を見るときの非常に大事なポイントになります。
要するに、斎場選びは、ほとんどの場合で代替がきき、幅を持たせて考えたほうがいいのに対して、葬儀社選びは厳選したほうがいいということです。つまり、葬儀社選びさえ間違わなければ斎場に関する問題はあまり起きないでしょう。